日本で唯一沖縄にしかいない飛べない鳥「ヤンバルクイナ」って知ってる?
ようこそヒケナンブログへ♪
皆さんは、「ヤンバルクイナ」という鳥はご存知でしょうか?
そうです!あの沖縄にしかいない鳥のことです!
1981年(昭和56年)に発見されたヤンバルクイナは、以下の称号?を持っています!
- 国の天然記念物
- 希少野生動植物種(種の保存法)
- 絶滅危惧IA類(環境省レッドリスト 2006年12月発表)
- 絶滅危惧Endangered (IUCN RDB)
一時期は歌にまでなったこのヤンバルクイナですが、私自身あまりよく分かっていないので今回はヤンバルクイナについて取り上げてみたいと思います。
ヤンバルクイナの生息地域
ヤンバルクイナは、その名が示す通り”やんばる”にしか生息しない、固有種となっています。
”やんばる”とは、沖縄本島北部にある山や森林などの自然が多く残っている地域のことです。実は「ここから北がやんばる!」という明確な区分がないため、恩納村や金武町を含めての以北がおおよそのやんばるの範囲と考えていいでしょう。
実際にヤンバルクイナが発見された地域は沖縄島北部の大宜味村・国頭村・東村の3村のみとなっています。
ヤンバルクイナという名前の由来
「ヤンバルクイナ」という和名は、沖縄本島北部をやんばる(山原)と呼ぶことに由来します。
このヤンバルクイナを新種として記載するに先立って、現地で捕獲調査を実施した山階鳥類研究所の調査チームの間では、和名として「ヤンバルクイナ」か「ヤンバルフミル(フミルはバンの地方名)」にしようという話し合いがなされていました。
当時は「ヤンバル」という名前は沖縄でしか使用されていない方言であり、一般的とは言えない名称であったために、山階鳥類研究所の内部では「オキナワクイナ」という名称はどうか?という意見もあったようですが、「鳥の保護には地元の理解と協力が不可欠なので、そのためにはより具体的なヤンバルという名前に入れるのがよいだろう」という判断から、最終的に「ヤンバルクイナ」という和名がつけられました。
これ以前にも「ヤンバル」を冠した生物名称はありましたが、全国的にこの「やんばる」が広く知られるようになったのは、この「ヤンバルクイナ」と名付けられたことからなのです!
ヤンバルクイナの生態
形態
ヤンバルクイナの全長は約35センチメートル程度です。スズメ(約14センチメートル)よりは大きく、ニワトリ(約40センチメートル)より少し小さい程度ですね。
翼長は約15センチメートルで、翼を広げたときは約50センチメートルにもなります。体重は340~430グラム程度です。
身体の色は、ほかの鳥に比べると特徴があります。胸から腹にかけては白と黒のしま模様となっており、くちばしは真っ赤です。
”百聞は一見に如かず”実物の画像を掲載します笑
食性
ヤンバルクイナは、その大きなくちばしで、土のなかの小動物をほじくり返して食べることができます。カタツムリなどの固い殻も割って中身を食べるようです。主食は「昆虫・巻貝(かたつむりなど)・ミミズ・果実・種子」です。特に好物なのが巻貝で調査した個体の約80%が巻貝類を食べていたことが判明しています。
また、果実や種子も食べていますが、これらがあまり消化されていないこともわかっており、ヤンバルクイナが植物の種子散布者となっている可能性もあります!植物界に多大な貢献をしていますね!
さらに別の調査では、カエルを食べていたことや、自分の体長よりも大きい蛇を飲み込んでいた調査結果も報告されています!
繁殖
ヤンバルクイナは、他の鳥と同様に卵を産んで繁殖します。草木が生い茂った地表に枯れ葉などで組み合わせて皿状の巣を作り、そこに3~5個程度の卵を産みます。卵の大きさは約3.5~5センチメートル程度です。
卵からかえったひな鳥はすぐ歩けるそうです。生まれたての小鹿のようにプルプルしないんですね笑
しかも色は真っ黒!草木ではいい保護色になりそうですね!
しかし、巣を地表に作るなんて鳥にしては珍しいですよね?木の上で作ってるイメージがありますよね?
なぜ、地表に巣を作るのか、それは後程理由を説明しますのでお楽しみに!
ヤンバルクイナの最大の特徴
さて、生まれた直後からすぐ歩ける脚の強さや、地表に巣をつくるなど、何かと地上と縁があるヤンバルクイナですが、それには理由があります!
それは飛べないからです!笑
そうなのです!ヤンバルクイナは鳥にも関わらず飛べません。マジで飛べません!日本では唯一の飛べない鳥です!逃げるときはその強い脚で走ります笑。寝るときは木に登り、木の上で寝るようです!
ちなみに、世界では約40種類ほど飛べない鳥がいるようです。ダチョウやエミュー、ペンギンなどは有名ですよね!その中の一つにヤンバルクイナがいるわけです!
以下に飛べないことと、地表での生活に適していることが分かる、こちらの画像をご覧ください。
左がヤンバルクイナ、右がナンヨウクイナという鳥の骨格を比較した画像です。
鳥類は空を飛ぶために胸筋が発達しており、その胸筋を支えている骨が「竜骨突起」という骨です。※画像赤枠部分
この写真を見ると、同じクイナ科のナンヨウクイナ(写真右)よりヤンバルクイナの方が体は大きいのに、竜骨突起はむしろ小さく、胸筋が発達していないことが分かります。
一方、足の骨は立派で、骨格からも地上の生活に適応していることが分かりますね。
一時期、数を減らしてきたヤンバルクイナ
ヤンバルクイナは、国の天然記念物や希少野生動植物種に指定されてる通り、現在も生息数は少ないです。
発見当初の1986年(昭和61年)には約1,800羽と推定されていましたが、以降は減少傾向にあり、2005年(平成17年)の調査では約720羽と半分以下になりました。
ここまで減少してしまった理由は、主に以下の3つが考えられます。
- 外来生物であるマングースやノネコによる捕食
マングースといえば、ハブを退治するために海外から流入された動物ですが、こいつがよりによって空を飛べないヤンバルクイナを捕食してしまうのです!また、マングースが沖縄本島南部から分布が北上するのと、ヤンバルクイナの分布の南限が北上するのがきわめてよく一致していることからも、マングースの捕食が減少の主な要因と考えられています。 - 交通事故
先述の通りヤンバルクイナは飛べないため、餌を求めて道路を横断することがありますが、そこで轢かれてしまう事故が多発しています。1995年(平成7年)~2014年(平成26年)までに、交通事故の確認件数が312件(うち278件死亡)となっており、そのうち5月が75件(うち死亡69件)、6月が63件(うち死亡55件)と全体の約44%が5、6月に集中しています。ちょうどこの時期は繁殖の時期であり、親鳥がひな鳥のため餌を求めて駆けずり回っているところで事故に遭ったと推測されます。また、最近は交通事故の認知件数は増加傾向です。1998年(平成10年)~2004年(平成16年)は年間1~6件程度でしたが、2014年(平成26年)は47件(うち死亡43件)と、約8倍も増加して発生しています。 - 森林伐採などによる生息地の減少、道路やダム建設による生息地の分断など
その後、生息数は1,000羽前後で推移していましたが、マングース防除事業の進展に伴って、2011年(平成23年)以降は、ヤンバルクイナの分布域及び生息数は回復傾向にあると考えられており、2014年(平成26年)現在は約1,500羽が生息していると推定されています。
本島北部を運転するときは、安全運転を心がけてね!
ヤンバルクイナに会える「くいなの森」について
回復してきたとはいえ、まだまだ絶滅の恐れもあり、国の天然記念物にも指定されているヤンバルクイナですが、一般の方々が野生で遭遇するのはなかなか難しいです。
しかし!あるところに行けば、ヤンバルクイナを絶対に見ることができます!
それは「くいなの森」です!
- 住所 沖縄県国頭村字安田(あだ)1477-35
- 場所 NPO法人やんばる・地域活性サポートセンター安田くいなふれあい公園内
- 施設名 ヤンバルクイナ生態展示学習施設「クイナの森」
- 会館時間 9時~17時 ※年中無休
- 入館料 大人:500円、小中高生:200円(国頭村内100円)
GoogleMapはこちらです!
ここでは、卵のふ化から育てたヤンバルクイナの「キョンキョン」がいます。人に育てられたせいか、野生のヤンバルクイナと違って人に慣れています。
見学者の前にきてお客さんの顔をのぞいたり、水浴びする姿をみせてくれたりとサービス旺盛です笑
自然体で愛嬌たっぷりで、その愛くるしい姿に子どもから大人まで大人気のようですよ♪
※キョンキョンは2018年(平成30年)11月に病気のため引退していました…今は1歳のオスのヤンバルクイナが2代目として頑張ってるようです!
最後に
いかがでしょうか。
世界に沖縄だけにしかいない「ヤンバルクイナ」について、少しは知っていただけたかと思います!
もしお時間ある方は、ぜひ「くいなの森」でヤンバルクイナをご覧になってくださいね♪
また、北部をドライブするときは「よんなーよんなー」(ゆっくりゆっくり)走ってヤンバルクイナに気を付けてくださいね♪
沖縄生まれ、沖縄育ちの純うちなーんちゅの30代男性会社員、二児の父です。
沖縄に関することや体験談、私や家族が気になったことなどをブログで発信しています。